①イメージスキーマは大事な概念
イメージスキーマ。認知言語学を研究しているひとなら、もしかしたら「前置詞の研究」でよく使う概念だと思う人もいらっしゃるかもしれません。イメージのスキーマ(ここでは「集合体」の意味で使用)とすると思い浮かべるのが簡単という人もいらっしゃるかもしれませんね。
②回答ーイメージスキーマとは?ー
イメージスキーマとは、認知言語学において、人間の認知と知覚の基本的な構成要素を表す基本概念を指します。
イメージスキーマは、私たちが体現する世界との相互作用から生まれる動的な心的表現であり、抽象的な概念や言語を理解するための基礎となるものです。
イメージスキーマは、文字どおりの視覚的イメージではなく、むしろ私たちの世界理解を構造化する概念的枠組みです。空間、時間、因果関係、その他の抽象的な領域に対する理解を形成する、言語以前の概念的な経験パターンである。これらのスキーマは、感覚的知覚、運動動作、物理的環境との相互作用など、私たちの身体的な経験を通じて形成される。
③イメージスキーマの例
イメージスキーマの一例として、「容器」のスキーマがあります。このスキーマは、ボトル、コップ、箱などの容器に関する身体的な体験から生まれます。
容器スキーマは、内側の領域と外側の領域を隔てる境界や囲いから構成される。このスキーマは、”in” “out” “into” “out of” などの前置詞を使って、抽象的な概念を概念化するように拡張することができます。
例えば、”She poured her heart out to me “という表現を考えてみましょう。ここでは、感情を表現する行為を理解するために、容器のスキーマが比喩的に用いられています。
感情体験は容器のスキーマとして抽象化され、ハートは感情内容を表し、注ぎはそれを表現する行為を表しています。このように比喩的に拡張することで、”out “のような前置詞を使って、抽象的な概念をより具体的で体現された経験として理解することができます。
⑤最後に
認知言語学者は、イメージスキーマを認識・分析することで、言語や思考の理解を形成する基礎的な認知構造を明らかにすることを目指しています。
これらのスキーマは、私たちが世界をどのように概念化し、それについてどのようにコミュニケーションをとるかに重要な役割を果たし、私たちの身体的経験と抽象的な推論プロセスの間の不可分のつながりを強調するものです。
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