札幌での2年間を終える前に

北海道生活がもうすぐ終わる。終わる実感がある。引越しの準備をしていると、いやでも思う。2年前の今日、札幌の家の初期費用を振り込んだ。大学1年生の頃から夢見ていた札幌生活が現実になる。嬉しかった。

初めて、僕が北海道に行ったのは、中学1年生の時。この頃、まだ旭川駅は高架化していなくて、青森から札幌まで夜行列車が走っていた。まだ、北海道新幹線は建設中で、ブルートレイン「北斗星」も走っていた。

中学の時、鉄道研究部に入っていて、毎年8月は普通電車でどこかに旅行に行くのが恒例行事だった。1年生の時、北海道に行くと決まって、しかも北海道内を普通電車で1周する。そんな工程が決まった。

1日目は上野から青森まで普通電車に乗る。もちろん、上野を出るのは朝の5時台。そこから普通電車だけで青森へ。青森で寝台急行『はまなす』に乗り換えて、明け方に札幌に着いた後、休憩なしで、滝川まで。滝川から釧路まで電車に乗る。そして、17時頃に急いで釧網本線に乗り換えた。

旅行工程

次に、北海道に行ったのは高校2年生の時。これも、懲りずに友達を誘って普通電車での旅行。中学1年生の時と同じような行程を辿った。この時には旭川駅は高架化されて、駅舎は綺麗だった。

ちなみに、普通電車で移動している時に、何冊かの小説を読んだ。その中で重松清さんの「きみの友だち」という作品を読んだ。この話はいずれどこかでします。友達ってなんだろう?と深く考えさせられました。

大学に入って、病気を患って、長期入院を余儀なくされてしまった。入院を終えて、北海道へ向かった。高校の友達が北海道大学に通っていて、北海道の魅力をたくさん語ってくれた。「宮の沢の白い恋人パークって面白い」とか、「二条市場」という海鮮丼屋さんとか、色々と連れて行ってもらいました。そして北海道の魅力をたくさん、それこそ数えきれないほど語ってくれた。ありがとう。

次第に、お金を貯めてはーたとえ、日程の問題で北海道の友達に会えなくてもー北海道に行くようになった。年間で5回は行っていたと思う。思えば大学生の卒業旅行は札幌に行った。そうこうしているうちに、1つの思いが芽生えた。そして、その思いを叶えたいと強く思うようになった。

北海道に住みたい

そんな中、コロナ禍が始まった。リモートワーク、地方移住、そのブームもあったのだろう、大学の授業もオンライン化して、同期の家の近くに住んでいるのに会えない日々が続いた。

僕も、大学院生になり、研究に追われていき、しかも、それが家の中で行われて、外に行けなくて、複雑な思いだった。でも、コロナが終息に向かう中18切符で九州へ行った。結構な距離を移動した。家に帰ってきて8日後に指導教員と偶然会う機会があった。その時、試しに言ってみた。

ボク:『先生、このままコロナ禍が続くのだったら、どこに住んでいてもいいですよね?極端な話、札幌に住んで、研究して、必要な時に学校に行けばいいのでは?』
先生:『いいんじゃない?また藤沢に来た時にお会いしましょう。』

数日後、ボクは千歳と札幌の不動産屋さんに来店予約をした。千歳は素晴らしい場所だと思う。でも、飛行機の音がちょっと厄介だった。というか物件の希望条件とあった物件が1件もなかった。その後、札幌に行って、今のマンションが見つかって。無事、住めることになった。

移住したのは、12月。その年は雪が全然降っていなくて、まだ寒い感じだった。夜中に、札幌駅に着いた。静かに、でも、心の中では「ついに来たぜ札幌!」と躍っていた。

あれから2年。コロナもほぼ?終息した。思い出もたくさんできた。北海道の友達とも思い出をたくさん作った。2年という日々が信じられないくらいに短く感じる。1週間後、ボクはもう北海道にいない。2年。来年30歳になる身として、2年は15分の1。40歳になったら、20分の1。

いつまでも、いつまでも、この札幌で過ごした2年間を忘れずにいたい。そして、こんな素敵な思い出を振り返ることができるのは、何よりも、何よりも、そう、どんなことよりも、幸せなことだと思う。

北海道はもう秋が深まって、静かに冬の支度を始めている。後1ヶ月もしないうちに、初雪が降り出し、何回目かの雪が春まで溶けない根雪となる。長い、厳しい、冬の訪れだ。3月も半ばになると、雪は溶け出して、5月に桜が咲く。来年の5月、もう博士論文を書き終えていることだろう。

ちなみに、神奈川には飛行機で帰る予定だ。帰りの新千歳空港、寂しい思いになるのはわかっている。でも、ボクには、そこから上がってくるだけの心のしなやかさも備えている。札幌で生活して、自分のこともよく観察した。

飛行機の中では、比較的寝ることが多い。しかし、羽田空港に着陸した時、新しい生活が始まって、新しい世界の一部になっていることは確かだ。

桜の咲く、定山渓にまたいきたい。鯉のぼリが綺麗だ。
そんな未来を、願っている。

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